交通事故のTBS

テレビのTBS。「ROOKIES」面白かったですね。

 皆さんは,「ROOKIES」(不良達の溜まり場と化していた活動停止中の野球部顧問となった新人教師・川藤幸一が野球部の再建に乗り出し,不良部員達がやがて夢の甲子園を目指す物語。)や「仁」(現代の医師が幕末にタイムスリップしたドラマ)をご覧になりましたか。面白かったですね。「半沢直樹」も福井商業高校のJETをモデルにした「チア☆ダン」もTBSでしたね。これらの番組を制作したのはTBSですよね。
 ところで,交通事故の被害者救済のためには,このTBSが必要です。交通事故におけるTBSって,何だと思いますか。

 

Tは治療です。治療による身体の回復です。

 適切な治療を受けるのが,被害回復の第一歩であることは当然ですね。いい病院選びが必要であることは説明するまでもありません。

 

自賠責保険と後遺障害等級認定

裁判所は,自賠責保険における後遺障害等級認定に必ずしも拘束されるわけではありません。しかし,両者が全くの無関係ということではありません。裁判所は自賠責保険で認定された後遺障害等級を参考にして,損害額を算定する傾向があります。

以下にて,自賠責保険と後遺障害等級認定について御紹介いたします。

 

○自賠責保険における等級認定

自賠責保険においては,大量の事案を処理していくという要請から,あらかじめ設定された基準に基づいて,画一的に後遺障害等級の認定がなされます。いくら症状が残っていたとしても,後遺障害に該当しなければ,後遺障害を理由とした損害賠償を請求することはできません。なお,自賠責保険の後遺障害等級認定が「非該当」になった場合であっても,訴訟において,これに拘束されずに後遺障害の認定を受けることができるときがあることは,前記のとおりです。

 

○自賠責保険における判断基準の具体例

当事務所においては多数取り扱っております高次脳機能障害を例に挙げると,自賠責保険においては,以下のような要素を考慮して後遺障害等級認定をしています。

交通事故における症状固定について

近年では,交通事故の被害者が弁護士に相談する例が増えています。弁護士に相談することには,弁護士を介することで保険会社との交渉や賠償金の増額の交渉を有利に運ぶことができるなどの様々なメリットがございますが,ここで理解が欠かせない概念のひとつが「症状固定」です。ここでは,症状固定の概要について簡単に御説明いたします。

 

○医学的観点から見た症状固定

交通事故で負傷してしまった場合,当然ながら病院で治療を受けることになります。
しかし,治療したからといって必ずしも完治に至るとは限りません。医学的観点から見た「症状固定」とは,治療を続けているにも関わらず,疾病・症状の回復・改善が期待できなくなった状態のことをいいます。

保険会社から症状固定を宣告される場合もございますが,症状固定は主治医と被害者の間で決めることです。痛みが残っていて引き続き治療を希望したい場合には,主治医や弁護士と相談して,本当に症状固定といえるのか真剣に検討することをおすすめします。

交通事故相談のタイミング

 交通事故に遭ってしまった後,弁護士に交通事故相談をいつすれば良いのでしょうか?

 

 それは,①事故直後,②症状固定(後遺障害診断)時,③最終的な保険金額交渉時の3回です。

 

 

 まず,事故直後には,過失相殺の有無,労災保険適用の有無,人身傷害保険と加害者に対する請求のどちらを先行させるか,無保険車傷害保険を使用するか否か,弁護士費用担保特約を利用できないか,検討すべきことが多くあります。それぞれの事案に応じた対応をしていかなければなりません。
 初期行動を誤ってしまうと,適切な賠償を得られなくなってしまう可能性があります。

 「とりあえず,相談する」という気持ちが大切です。

 

 

 次に,後遺障害等診断に当たっては,医師の中には,後遺障害診断書作成に精通していない方もいらっしゃいますので,誤った診断書を作成してしまうことがあります。
 特に多いのが,関節可動域の測定ミスです。こんなに曲がるはずがないような数値が記載されていることがよくあります。その数値の間違いにより,賠償金が何千万円も違ってくることがあります。

 

弁護士に交通事故相談をするメリットとは?

 交通事故に遭った方の多くが,事故処理を御自分で処理されているのではないでしょうか?

 しかし,実は,交通事故処理は,弁護士に任せた方が,金銭的にも精神的にも,良いのです。

 ここでは,弁護士に交通事故相談をする二つのメリットを紹介したいと思います。

 

 第1のメリットとして,賠償金が増額するということが挙げられます。
 御存じない方もいらっしゃると思いますが,交通事故の保険金や損害賠償額については,自賠責保険,任意保険,裁判所で基準が違います。
 特に,後遺障害が残るような人身事故の被害については,保険会社の提示額は実際の裁判例に比べて半分以下のことがほとんどです。
 死亡ないし後遺障害事案では,ほとんどの事例で賠償金が,2倍以上になります。
 後遺障害が残りそう・・・という場合,弁護士を入れないと,認定されるはずの後遺障害が認定されないということもあります。

 

 

交通事故にあった直後の方

交通事故現場あるいは事故から数日間のうちに

 1. 警察へ連絡(怪我がある場合には,人身事故扱いにしてもらって下さい)。
 2. 加害者の運転免許証の確認(住所・氏名・本籍をメモ)。
 3. 加害車両の車検証の確認(相手方自動車のナンバー,所有者および使用者の住所氏名をメモ)。
 4. 運転者の名刺をもらう。なければ会社名,連絡先をメモする。携帯電話番号を教えてもらう(業務中の事故であれば,勤務先会社にも損害賠償請求可能。加害者が無保険の場合,加害者の給料を差し押さえることが可能。もっとも,通常は,加害者が無保険の場合でも,被害者側の保険を使用して損害の填補ができますので,加害者に執行しなければならないケースは稀です)。
 5. 加害者の自賠責保険,任意保険の確認。
 6. 目撃者の確保(氏名,住所,連絡先を聞いてメモ。可能であれば,その場で証言を録音。事故状況について,争われる場合が非常に多く,目撃者を確保しておく必要があります)。
 7. 加害者の言い分の確認・録音(加害者は,事故直後は責任を認めていても,後にこれを翻して,責任を争うことが非常に多いです。責任を認めているうちに証拠化しておく必要があります)。

交通事故で家族を亡くされた方

 ご家族を亡くされて,さぞかしお心落としのことと思います。ただ,どんなに辛く,寂しい思いをしていても,解決しなければならないことは解決しなければなりません。

 

 死亡事故の場合に限らず,保険会社が提示する賠償金額と裁判所が認定する金額とでは,倍近い差があります。その差は,数千万円の違いが出るものです。しかも,弁護士費用は,ほとんど相手方から回収できるのですから,ご家族の経済的安定を確保するために,裁判することをお勧めしています。

 

 また,「死人に口なし。」で,加害者が虚偽の事故状況を説明することが,よくみられます。この場合は,死者の名誉のためにも,裁判が必要です。

 

後遺障害が残った方へ

 後遺障害の慰謝料に限らず,保険会社が提示する慰謝料は,極めて低額です。ちなみに,後遺障害第1級から第4級までの自賠責保険基準,任意保険基準,裁判所基準を比較してみると,次のとおりです。   

労災事故でもある場合,加害者の自動車保険と労災保険のどちらを使う?

 一般的には,労災保険の利用を勧めています。

 

 被害者側にも過失がある場合には,被害者側の過失分の治療費は,自動車保険利用の場合には,被害者側が負担しなければならなくなりますが,労災保険の場合には,労災保険が負担してくれることになりますし,労災保険からは,休業補償給付(休業の第4日目から1日について,給付基礎日額(平均賃金相当額)の60%)と休業補償特別支給金(給付基礎日額の20%)が支給されますが,このうち,休業補償特別支給金については,損害賠償から控除されない取り扱いになっていますし,特別年金も,損害賠償から控除されませんので,労災保険の利用を勧めています。

 

 なお,使用者から損害賠償を受領すると,最高9年間労災保険給付の支給停止がなされる場合があります。ただし,損害賠償額と労災保険給付との重複部分の支払を使用者に求めず,現実に支払いを受けなければ,労災保険給付の支給は停止されません。そこで,使用者に対して損害賠償請求を行い,和解により解決する場合には,「労災保険法・厚生年金保険法・国民年金法に基づく過去分及び将来の給付を除き,和解金として金〇〇〇円の支払義務がある。」旨の和解をすれば,労災保険金,厚生年金,国民年金は支給停止されません。これも,有効に活用すると,実際の受領額は大きく違ってきます。

加害者が任意保険に加入していない場合

 結論から言って,加害者が任意保険に加入していなくても,何らかの形で保険の利用が可能であり,賠償を得られないということはまずありませんので,ご安心ください。

 

 ところが,実際には,十分な知識がないために,自賠責保険以上の回収ができなかったという被害者はかなりいるように思われます。

 

 弁護士でも,加害者が任意保険に加入しておらず,資力もないと,回収は困難と言う人が多いです。日弁連の「交通事故損害額算定基準(いわゆる青本)」という交通事故に関する教科書的な本がそうなっているため,多くの弁護士があきらめてしまいます。そのため,自賠責保険以外には,ほとんど支払を受けられない被害者がいます。

 

 しかし,本当は,加害者が任意保険に入っていなくても,補償を受けられない被害者はほとんどいないはずです。

 

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