適切な労働環境を確保するために

 労働契約は,我々にとって一番身近な契約の一つです。

 

 しかし,労働者の側から見た場合,現実には,法律的に問題のあることが往々にして受け入れられてしまっています。おそらく,使用者の労務管理が杜撰になっているのでしょう。「サービス残業の強制」「不当解雇」「一方的な給料の減額」など,いずれも法的には認められないものが頻繁に見受けられます。これらの是正を求めることは,労働者の正当な権利です。最近では,権利実現のために労働審判という簡易迅速な手続も利用できますので,泣き寝入りせずに御相談ください。

 他方,使用者の立場からすると,労務管理をおろそかにしていると,労働者から解雇無効を前提とした多額の未払賃金請求や損害賠償請求を受けるリスクが増大します。しかも,訴訟においては,これらの請求に遅延損害金が付されることが通常です。このようなリスクは,事前に予防しておくのがベストです。さらに,事業の形態によっては,就業規則を工夫することで,無用な割増賃金の支払いを一定程度抑えることも可能です。労務管理で疑問が生じたときには,お早めに御相談ください。

リーガルリスク・マネジメントと企業法務

近年では企業法務の重要性が高まったこともあり,法務部門を設けている企業様が多くなっています。企業の法務は様々な役割を果たしているものですが,そのひとつがリスクマネジメントです。これはリーガルリスク・マネジメントと呼ばれており,企業活動におけるコンプライアンスの徹底等に役立っています。では,リーガルリスク・マネジメントと企業法務の関係について,さらに踏み込んでみましょう。

 

○不祥事の予防と企業法務

企業活動は何かとリスクが伴います。経営者にとっては一切のリスクを排除したうえで企業活動を行いたいものですが,降りかかるリスクを全て排除することは不可能です。そのため,企業活動におけるリスク管理で最も大切なことは「リスクを最小限に抑えること」です。企業は予防法務的観点からコンプライアンス体制を構築するのですが,これによって法令違反から発生するリスクを最小限に抑えているのです。

労働事件と弁護士相談

現在の日本では使用者と労働者がぶつかることも珍しくなく,多くの労働事件が発生しています。福井にある当事務所でも,これまでに多くの使用者・労働者の方の御相談を受けてきました。使用者・労働者どちらも労務に関するお悩みを抱えていると思いますが,ここでは「労働者」の視点に立って労働問題を考えてみましょう。

 

○労働者を苦しめる不当解雇

使用者による解雇が横行しているようなイメージをお持ちの方いらっしゃるかもしれませんが,法律上,解雇は簡単に行えるものではありません。例えば,リストラ(整理解雇)をする場合にも,「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」「被解雇者選定の合理性」「手続きの妥当性」といった要件又は重要な要素が適法性判断において考慮されます。どれかひとつでも欠けていると「権利の濫用」として,法律上解雇が無効となる可能性が高くなります。

企業法務の取り扱い範囲

当事務所では福井県内の様々な企業様や経営者様から,企業法務についての御相談を承ることもあります。こちらではそもそも企業法務とはどのようなものか,ということについて御紹介します。

 

○戦略法務

戦略法務とは,企業様を発展させるために戦略的に法律を活用する企業法務のことを言います。
例えば,福井県やその他北陸地方は昔から伝統工芸が盛んだったこともあり,製造業を営む企業様が多いです。そうした企業様がものづくりの技術を活かして画期的な企画・開発をした場合,それを企業様の利益として還元するために特許権や商標権を取得する必要があります。
他にも企業買収やM&Aにおいて戦略法務の仕事が必要になることもあります。

 

○予防法務

予防法務とは企業様が抱える紛争や裁判に発展するリスクを,法律を使って未然防止する企業法務のことです。例えば,サービス残業をした際の残業代について,労使間で紛争になった事例も少なくありません。
しかし,こうした事例は事前に残業に関する就業規則や労働協約を定め,適切に運用することで紛争・裁判に至るのを防ぐことができるものでもあります。

労働事件を未然防止する就業規則

福井に限らず全国では,給料の減額やセクハラ・パワハラなど様々な労働事件の事例があります。
その中には,就業規則を作成・適切に運用していれば防げたかもしれない事例もあります。

 

○就業規則とは

就業規則とは,会社とその会社で働く従業員との間で取り交わされたルールのことです。
必ず記載が必要になる絶対的必要記載事項(労働時間,賃金,退職)と,取り決めがある場合のみ記載の必要がある相対的必要記載事項(退職手当,臨時の賃金・最低賃金額,費用負担,安全衛生,職業訓練災害補償及び業務外の傷病扶助,表彰及び制裁の種類及び程度,その他)について定められています。

常時10人以上の労働者を使用する事業所は作成義務があり,この10人にはパート・アルバイト,非正規雇用社員も含まれます。

 

○法令,労働協約との関係

就業規則は会社と労働者間で遵守義務があるルールですが,就業規則の規定が覆されるケースもあります。その場合とは,就業規則が法令(労働基準法),労働協約の定めに違反・抵触するときです。
例えば,福井は働く女性が大勢いらっしゃることで有名で、「福井モデル」として注目されています。

労災事故に遭われた方へ

 現代社会においては,働き方が多様化していますが,これと同様に,アスベスト疾患,過労による重篤症状発症,職場・工事現場での事故等,労災事件も多様化しています。

 疾患や怪我につきましては,場合によっては後遺障害の等級認定手続を得て損害賠償請求をしていくことになりますが,この過程は,当事務所が最も得意としているものです。

 当事務所では,労災事件にも力を入れて取り組んでいます。仕事中の事故で怪我をされた方,仕事の過労等に起因して御病気された方は,まず,御相談ください。